
伊勢志摩国立公園・近畿自然歩道 初心者も安心!低山ハイキングで出会う青峯山の海と歴史の物語
自然美を満喫!青峯山ハイキングコースで癒やしのひととき
伊勢志摩国立公園内に位置する青峯山は、三重県鳥羽市と志摩市にまたがる低山で、美しい眺望を楽しめるハイキングコースとして人気です。
特に、海の安全を祈願する青峯山正福寺へと続く道は、豊かな自然の中で歴史と文化に触れることができる魅力的なルート。
近畿自然歩道にも指定されており、四季折々の自然美を満喫しながら歩くことができます。
〇コース概要(松尾駅から上之郷駅までのコース)
近鉄松尾駅(鳥羽市)-0.9キロ-青峯山登山口-0.4キロ-ますきち岩-0.3キロ-あまかぼうか岩-1.4キロ-護摩岩-0.4キロ-正福寺-6.8キロ-上之郷駅(志摩市)
- 距離: 10.2km (片道)
- 所要時間: 約3時間(片道)
- 最高標高: 366m
青峯山の見どころ
ハイキングコースの道中には、以下のような魅力的なスポットが点在しています。
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志摩半島沖が見晴らせる展望台
開けた視界で、美しい海と湾の景色を一望できます。 -
ますきち岩
狼に追われたますきちが岩に上ることで難を逃れたとされる
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あまかぼうか岩
ハイキングコース沿いに現れる奇岩。「あまかぼうか(女児か坊か)岩」と呼ばれ、正福寺をお参りする人たちがこの岩に石を投げ、石が乗れば男の子、落ちれば女の子を授かると伝えられています。
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護摩岩
コース途中にある巨岩。かつてこの場所で弘法大師が護摩を炊かれたとされ、神聖な雰囲気が漂っています。 -
正福寺山門
麓から続くハイキングコースの先に、荘厳な山門が現れます。
海上での安全を祈願する青峯山正福寺
標高336mの青峯山山頂に鎮座する青峯山正福寺は、立派な境内を持つ由緒あるお寺です。
特に目を引くのは、入口にそびえ立つ堂々とした山門。鳳凰や龍など、様々な動物の隅々まで技巧が凝らされた精緻な彫刻は、江戸時代に「鳥羽藩に過ぎたるものの一つ」と称えられたほどの見事さです。
その佇まいと、細部にまで宿る職人の魂は、訪れる人々を圧倒します。
”青峯信仰”は、江戸時代に廻船業が盛んになり、「青峯に参ると海難を免れる」という信仰が広まったことがきっかけです。
現在も海女をはじめ、海の仕事に従事する人たちに信仰にされています。
Column

船舶関係者の信仰の中心 青峯山正福寺
標高336mの青峯山(あおのみねさん)山頂にある広大な寺院。
海の仕事に従事する人たちの信仰が厚く、旧暦1月18日には「御船祭」が行われることでも有名です。
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石灯籠
弘化2(1845)年に大坂西宮の小西酒造を中心とした樽廻船中が 33両をかけ、5両の油代を添えて奉納したものです。
石材は修羅(木反り)に載せて磯部道から運び上げたと記録にあります。 -
山門の彫刻 隠れ海老
山門の彫刻に隠された海老。
立川流の精緻な意匠の中に、ひっそりと姿を隠しています。
訪れた際には、ぜひ探してみてください。
※立川流は、江戸時代後期に活躍した彫刻の一派で、その精緻で装飾性の高い意匠が特徴とされている。
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御朱印
御朱印の受付時間:午前8時~午後3時ごろまで
変更の可能性がありますので、ご希望のかたは、下記まで問い合わせてください。
・青峯山正福寺
電話 0599-55-0061
荒波を乗り越えた感謝を込めて 盛田久左衛門と青峯山正福寺の深き縁
本堂には、今も大切に護摩札が祀られています。その主は、ソニーグループ株式会社の創業者の一人、 盛田昭夫氏のご先祖にあたる盛田久左衛門という人物です。
江戸時代より続く酒造家、現在の盛田株式会社(所在地は常滑市小鈴谷)の当主であった久左衛門。
明治二年、その酒造家の船が鳥羽湾の飛島(とびじま)付近で危うく難破しかけるという出来事がありました。
しかし、奇跡的に難を逃れた久左衛門は、その恩に報いるため、青峯山正福寺へお礼参りに訪れ、本堂に護摩札を奉納したと古文書に記されています。
海女文化との深いつながり
青峯山正福寺は、伊勢志摩の海女文化と深く結びついています。
古くから海女たちは、海での安全と豊漁を願い、正福寺をお参りしていました。
特に、旧暦1月18日の御船祭は、海女たちにとっても大切な祈りの場となっています。
伊勢志摩地域は、全国有数の海女漁が盛んな地域であり、その独特の文化は日本遺産にも認定されています。
ハイキングの際には、この地に根付く海女たちの文化にも思いを馳せてみてください。
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【日本百低山】鳥羽の奥地 青峯山に建立された正福寺を訪ねる|伊勢志摩ハイキング
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ハイキングの際は、ごみはお持ち帰りいただき、マナーを守っていただきますようお願いします。