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レポート

石原 良純 さん

Ishihara Yoshizumi
お木曳レポート- 特別神領民-

毎年訪れてきた伊勢で、初めて知ったお木曳の力。
人は変わっても、受け継がれるお木曳の景色。

毎年訪れてきた伊勢で
初めて知ったお木曳の力。
人は変わっても
受け継がれるお木曳の景色。

─石原さんにとって、伊勢はどのような場所ですか?

僕は19 歳の頃から、もう45 年、毎年12 月に伊勢に来ています。最初は小学生の頃、父と一緒に。19 歳の時にも家族で来て、その翌年くらいから「ああ、なんかいいところだな」と思って1 人で来るようになったんです。それから、なんとなく毎年12 月に来るようになりました。僕にとって伊勢は、その年のお礼やご報告を神様にお伝えする、大切な節目の場所です。

結婚した時も、伊勢には特別な思い出があります。結婚の証として、伊勢神宮の敷地の中で指輪を交換したんです。その時は土砂降りで……。でも、そういう天気の方がかえって覚えているもので、一生忘れられない日になっています。

─今回、20 年に一度のお木曳行事に参加されることを、どのように感じていましたか?

僕はこれだけ長く伊勢に来ていますが、お木曳行事のことは、正直ちゃんとは知らなかったんです。知り合いから「伊勢が好きなのに、お木曳に行かないの?」と言われて話を聞いたら、ちょうどその日だけ予定が空いていて。これは行こうと。全国から神事に関心のある方なども参加できると聞いて、僕も特別神領民として参加させていただきました。なかなかこういう機会はないですから、今日は楽しみにして来ました。

お木曳を終えて

─お木曳を終えて、率直に今どのようなお気持ちですか?

600 人以上が綱を曳いているから、そこまで力はいらないだろうと思っていたのですが、思ったよりも力がいるんですよ。いや、ガチで疲れました。(笑)最後の曳き込みは、かなり力が入りましたね。あんなに大変だとは思わなかったです。でも、いい時間でした。

─ 特に印象に残っている場面や、新たな発見はありましたか?

印象に残っているのは、「椀鳴り(わんなり)」の音ですね。奉曳車を曳く時に、車輪の木が音を立てるんです。ちゃんと力を入れて曳くと音が鳴る。逆に、力を抜くと音が消えるんですよ。だから、音がしなくなると「サボるなよ」と言われているみたいで(笑)。でも、その椀鳴りの音が、綱を伝わって振動として手に感じるんです。それが耳にも手にも残りました。その音を聞きながら曳いていると、もしかしたら式年遷宮の造営に、僕らも少しは役に立てているのかなという気持ちになる。なかなかいい音でしたね。

今回、特別神領民として参加させてもらって、僕にとってもお伊勢さんが少し近くなった気がします。

─ お木曳を振り返って、伊勢は改めてどのような場所だと感じましたか?

─ お木曳を振り返って、伊勢は改めてどのような場所だと感じましたか?

僕はこれまで何十年も伊勢に来ていますけど、今回のお木曳はまた違う経験でした。20 年に一度という、一生のうちに何度かしか巡ってこない行事。次の機会が自分が行けるかは分かりません。そういう意味でも、いい体験をさせていただきました。非常に楽しかったです。そして、非常に疲れました。(笑)
伊勢は、東京からは、はっきり言って遠いです。(笑)でも、不思議と「行こうかな」と思う時がある。それが呼ばれているのか、自分の中で何かが動くのかは分からないですけど、気が向いたら行った方がいい場所だと思います。そして、次の世代の人たちがまた参加できるようになればいいと思います。

伊勢志摩旅

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Q 実際に伊勢志摩を巡ってみて、まずどんな印象をもたれましたか?
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Q 伊勢志摩ならではの食や体験で、特に心に残ったものはありましたか?
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施設情報
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お木曳レポート- 地元奉曳団-

人は変わっても、お木曳の景色は変わらない
石原良純さんが見つめた、地元奉曳団

人は変わっても
お木曳の景色は変わらない
石原良純さんが見つめた
地元奉曳団

今回、特別神領民としてお木曳に参加する石原さん。毎年のように伊勢を訪れてきた石原さんにとっても、お木曳は初めて知る伊勢の一面でした。自分が綱を曳く前に、まずは地元の人たちがどのようにお木曳を支えているのかを見てみたいと石原さんは、早朝に宮川の関場へ向かいました。ここからは、地元奉曳団の熱気をたどっていきます。

朝の宮川で、御用材を守る人たち

早朝の宮川。お木曳が始まる前の関場には、すでに多くの人の姿がありました。関場は、お木曳に向けて御用材を管理し、各奉曳団へとつないでいく大切な場所。前日から当日にかけて扱われる御用材が大切に守られていました。

石原さん「この一角は、どういう場所なんですか?」

石原さんが尋ねると、宮川関場組合の皆さまが答えてくれます。「ここは、御用材をお守りしている関場という場所です。お木曳が行われる金曜から日曜の3 日間、昼夜を問わず8 時間3 交代でお守りしています。」御用材を置いているだけではなく、まちの人たちが見守り続ける。そこには、式年遷宮に向かう行事を支える、静かな責任感がありました。

20 年に一度、集まる役目

宮川で御用材を扱う方々の話にも、石原さんは興味深そうに耳を傾けます。「 かつてこの一帯では、海から船で運ばれてきた材木を宮川で受け取り、陸へ上げる仕事が日常的に行われていました。時代が変わり、そうした仕事は姿を変えましたが、お木曳の時には、その技や役目が今も受け継がれています。」

石原さん「20 年って、人の人生の節目にも重なるじゃないですか。前回は父親の世代が中心で、今回は自分たちの世代、次は息子の世代になる。人は変わっていくけど、お木曳の景色は変わらずに、またまちの中に戻ってくるんですよね。大工さんや材木に関わる方、地域の人たちも、回を重ねるごとに顔ぶれは変わっていくと思うんです。でも、御用材を扱うまなざしとか、行事へ向かう気持ちは変わらない。そういうところが、すごくいいなと思います。」

宮川河川敷では、「どんでん」と呼ばれる見せ場もあります。どんでんとは、宮川から上げた御用材を、そりの上で大きく上下に動かす作業のこと。シーソーのように御用材を揺らし、水を切り、これから始まる奉曳へ向けて勢いをつけていきます。出発前の景気づけのような場面でもあり、御用材が大きく動くたびに、周囲の空気も少しずつ高まっていきます。

石原さん「お伊勢さんとまちの近さみたいなものを、すごく感じますね。」

参拝する場所としての伊勢神宮。その一方で、御用材を守り、曳き進める人たちがいる。そうした姿を目の前にすると、伊勢神宮とまちの距離の近さが見えてきます。

20 年に一度のお木曳だからこそ、準備が始まる前には「本当に人が集まるのか」「前回のようにできるのか」という不安もあるといいます。まちの人口が変わり、暮らし方が変わり、行事を知る人も少しずつ入れ替わっていく。それでも、日にちが近づいてくると、まちの空気が変わっていく。参加者が増え、気持ちが高まり、気づけばまた大きな力になっていく。地元の方の言葉に、石原さんもうなずきます。

石原さん「20 年前だと忘れちゃうもんね。でも、今は写真も動画もある。昔は、あの日のことを覚えて伝えていくしかなかったんだよね。」

前回を知る人が、次の世代に伝える。初めて参加する人が、その景色を見て覚える。そうやってお木曳は、20 年という時間を越えて、まちの記憶として残っていきます。

小木町箕曲団のお木曳へ

最後に、小木町箕曲団のお木曳を見に向かいました。地元奉曳団のお木曳には、法被の柄、木遣りの声、奉曳車の動かし方など、まちごとの色があります。小木町の皆さんも、石原さんをあたたかく迎えます。力強い掛け声、勢いのある練り、沿道から手を振る人たち。石原さんも、その空気に誘われるように輪の中へ入り、まちの人たちと声を交わしながら、お木曳の熱気に触れていきます。
練りとは、奉曳車につながる2 本の綱を前へぶつけたり、前後に動かしたりしながら、場を盛り上げていく所作のこと。曳くだけではない力強い動きに、まちの人たちの気持ちも重なり、お木曳ならではの迫力が生まれます。

石原さん「すごいね。まちの人たちが本当に楽しそうにやっている。」

20 年に一度、戻ってくる景色

朝の関場から、小木町箕曲団のお木曳まで。石原さんが見つめていたのは、御用材を守る人。どんでんで勢いをつける人。法被を着て、木遣りを唄い、綱を曳く人。沿道から声をかける人。その一つひとつの姿から、伊勢神宮とまちが深く結びついていることが伝わってきます。

石原さん「20 年に一度っていうのは、なんかいいですね。」

石原さんが何度も口にしていたこの言葉には、行事の珍しさだけでなく、人の人生と重なる時間への実感がありました。人は変わっても、お木曳の景色は変わらない。その変わらない景色を、次の20 年へどうつないでいくか。石原さんが見た地元奉曳団のお木曳は、伊勢のまちに流れる時間の長さと、そこに集う人たちの思いを感じさせるものでした。

公益社団法人 伊勢志摩観光コンベンション機構